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第6波について 1.19

久々の更新になってしまいました。

オミクロン株の拡大がすごいことになってますね。本年1月6日に行われた第66回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで大阪府でも新型コロナウイルスの新規感染者のうち、オミクロン株の割合が15日には9割を超えると予想されていました。今日は19日ですので、もうそうなっているでしょうね。

当院でも職員の陽性者や濃厚接触者が増えてきました。いずれの方も軽症ではありますが、お休みされるスタッフが増えると病院機能が制限されることになるので辛いところです。

さて、オミクロン株の拡大の速度は、これまでのどの株よりも速いペースです。

下のグラフは第4波以降の大阪府の新規感染者数の7日間移動平均です。一番右端の第6波の増え方がいかに速いか分かっていただけますか?

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大阪府第3波〜6波の最初まで

次に昨年のGWの最中、つまり第4波の時に大阪では「重症患者用のベッドがいっぱいで人工呼吸器が必要なのに入院できない」という状態になっていました。ニュースではあまり取り上げられていませんが、悲惨な話をいくつも聞きました。

第4波よりも速いペースで感染者が増えている第6波ではどうでしょうか?

次にお示しするグラフは大阪府の新規感染者数の7日間移動平均と重症患者数を重ねてみました。

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大阪府の新規感染者数と重症者数

第3波と第4波では感染者数が多い第4波で重症患者数も多くなっていましたが、第5波になると感染者数は地獄の第4波を超える数であったにも関わらず、重症患者数は第4波よりも減っています。これは重症化しやすい高齢者でのワクチン接種が進んでいたからです。

そして第6波では、1月18日に大阪府が発表した人数は14名と増えてきましたが、全体の増加数からするとスローペースな印象です。これは、

1, 感染の波の最初は20代を中心とした若者が多いので重症化する人が少ない

2, ワクチンがオミクロン株に対して重症化の予防に貢献している

3, そもそもオミクロン株が重症化しにくい変異株である      などが考えられます。

もちろんこれまでも感染者数の増加と重症患者数の増加には1-2週間のずれがありましたので、感染者が増えてるにつれて重症患者数も増えてくることが予想されます。重症化リスクが低かろうとも、全体の感染者数が増えれば重症患者さんも増えますので感染対策を引き続き頑張ることはやはり必要だと思います。あと、誤解されがちですが新型コロナウイルス感染症の重症区分の中等症は「ちょっとしんどいかな?」ではありません。厚生労働省が監修している「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」から中等症の定義を抜き出すと、「呼吸困難」を伴う状態を中等症としています。つまり、ちょっとしんどいどころではなく、けっこうしんどい〜めっちゃしんどい、やばい!なんとかして!も中等症に含まれます。

この中等症になる患者さんも感染者数が多ければ多いほど増えます。こうした中等症の患者さんが増えていいわけないですよね。

また、オミクロン株によるCOVID-19が仮に軽症が多かったとしてもコロナ後遺症(long COVID)の割合が低いかどうかは、まだ分かっていないませんので、この点からもオミクロン株への感染対策は「労多くして〜」とは言わずに感染対策の継続が重要であると考えています。